燃えるほど美しかった? ペチコートの歴史と、今も私たちの服に残るその役割
- lingerie class sakura
- 3 日前
- 読了時間: 5分
燃えるほど美しかった。
ペチコートの歴史と、今も私たちの服に残るその役割

ペチコート(画像参照元:ARTOFIT)
ご存知の方とそうでない方がいるかもしれません。
ドレスの下に隠れ、決して主役ではない存在。
それでもペチコートは、何世紀にもわたって女性の装いを支え続けてきたランジェリーアイテムです。
「ふんわり広がるための下着」
そんなイメージを持つ人も多いかもしれません。
けれど実はその歴史は、ファッション、美意識、そして女性たちの暮らしそのものと深く結びついていました。
今回は、ペチコートの驚きの歴史と、現代のファッションに残るその役割を辿ってみます。
ペチコートとは?ペチコート(Petticoat)は、スカートやドレスの下に着用するアンダーガーメントの一種。
本来の目的は、
スカートのシルエットを美しく整える
衣服を汗や皮脂から守る
透け防止や保温性を高める
という、機能的なものでした。
しかし歴史を遡ると、ペチコートは単なる「下着」以上の存在だったことがわかります。
ペチコートは“見えない建築物”だった
16〜18世紀のヨーロッパでは、理想的なドレスシルエットを作るために複数枚のペチコートが重ねられていました。
当時のドレスは、身体に自然に沿うものではなく、理想の形を構築するもの。

Crinoline(画像参照元:Pintrest)
広がるスカート、豊かなボリューム、床を覆う存在感。
その美しさは、ドレスそのものではなく、内側にある構造によって支えられていました。

Crinoline(画像参照元:Pintrest)
言い換えれば、ペチコートは服の土台。
現代のパターン設計や立体構造に通じる、「見えないデザイン」の始まりともいえる存在でした。
19世紀、ペチコートは巨大化する
19世紀になると、スカートのボリューム競争はさらに加速します。
重ねるペチコートの枚数は増え、ときには5〜6枚以上着用することも。

Petitcoat ペチコートを何枚も重ねたドレスを着た女性(画像参照元:Pintrest)
しかし問題もありました。
重い。暑い。そして、動きにくい。。。
そんな中、1850年代に登場したのが クリノリン(Crinoline) です。

さまざまなCrinoline(画像参照元:Pintrest)
馬毛や硬い素材、後にはスチールワイヤーを使った構造によって、
少ない重さで大きなスカートシルエットを作ることが可能になりました。
これはファッション史の中でも大きな転換点でした。
巨大なベルシルエットは、当時の豊かさやエレガンスの象徴となり、ヨーロッパ中に広がっていきます。
「危険な下着」と呼ばれた理由
けれど、その美しさには代償もありました。
クリノリンや重ねたペチコートは、暖炉やキャンドルの火に触れやすく、19世紀には衣服火災が社会問題となります。
裾が燃え広がり、大事故につながるケースも少なくありませんでした。
当時の新聞には、ファッションによる火災事故がたびたび記録されています。
下のような風刺画があるほど社会に影響を与えたアイテムの一つです。

当時のCrinoline風刺画(画像参照元:BRANCH)
美しさを支えるための下着が、時に危険と隣り合わせだった。
ペチコートの歴史には、そんな時代背景も刻まれています。
そしてPetitcoat / ペチコートは消えた…?
20世紀に入り、女性の生活は大きく変化します。
社会進出、スポーツ文化、実用性の重視。
1920年代のフラッパースタイルでは、これまでの大きく広がるシルエットは姿を消し、軽やかで直線的なラインが主流になりました。

Petitcoat / ペチコートのないドレス(画像参照元:Pintrest)
それに伴い、何枚も重ねるペチコート文化は次第に衰退していきます。
けれど、ペチコートそのものが消えたわけではありませんでした。
現代のペチコート
“見せないため”から“魅せるため”へ
今のペチコートは、かつてとは少し役割を変えています。
現代では、
ワンピースやスカートの透け防止
静電気対策
生地の滑りを良くする
シルエット補整
ボリューム演出
など、実用性と美しさの両方を担うアイテムとして使われています。
また、チュールペチコートやランジェリースリップのように、
あえて見せるレイヤードアイテムとして取り入れられることも増えました。

SOEUR tokyo Petitcoat / ペチコートStyling(画像参照元:SOEUR tokyo)

現代のランジェリールックドレス(画像参照元:Madame FIGALO Japon)
かつてはドレスの下で姿を隠していた存在が、今ではスタイリングの一部になっているのです。
下着は、見えない美学
ペチコートの歴史を辿ると見えてくるのは、「美しさは表面だけで作られているわけではない」ということ。
服の内側にはいつも、構造や工夫、そして時代ごとの美意識が存在しています。
ドレスの下に隠れていた一枚の布は、何世紀もの間、女性たちの装いと身体を支えてきました。
見えないからこそ、美しい。ペチコートはそんなランジェリーの魅力を教えてくれる存在・・・
なのかもしれません。
今日はここまで!
次回もランジェリーアイテムの歴史からそのアイテムについて紐解き、深堀していきます✨
講師 sakura
sakura lingerie school
参考資料引用元
SOEUR tokyo https://www.soeurtokyo.com
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